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非正規の“賞与ゼロ・昇給なし”は違法?同一労働同一賃金と中小企業の実態|行政調査の実例つき

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※2026年1月の行政動向を踏まえて更新しています。

非正規で働く方から寄せられる悩みには、同一労働同一賃金と深く関わるものがとても多いです。

シャロうしエマ

「正社員と同じ仕事をしているのに賞与がない」

「何年も働いているのに昇給がない」

「契約更新はもう10回以上・・・」

実際にいろいろな相談を受けるのよ。

生活に直結した、切実な悩みが多いんです!

法律は“不合理な待遇差をなくす”ためにできていますが、現場を見ると企業の理解不足や整備不足が目立ちます。

実際、私が担当する顧問先が労働局の調査を受けた際、他社ブースでは「そんな説明必要なんですか?」という混乱が続いていました。

そして、私のブースでも主任調査官が書類をチェック、静かに調査が開始されました。

書類を一通り見終わった後、調査官がゆっくり顔を上げひとこと。

「すべての書類を確認させていただきました。これらの書類は、本当に・・・」

この記事では、厚生労働省のガイドラインや法的な解釈、行政調査のリアル、そして非正規の方が“損をしないための実践的な対策”を、社労士の視点から分かりやすく解説します。

そもそも「同一労働同一賃金」とは?

日本では少子高齢化が進み、2030年には生産年齢人口が大幅に減少し、企業の人手不足が深刻化すると見込まれています。

こうした状況で企業が安定的に成長するためには、通常の労働者だけでなく、短時間・有期契約で働く人も能力を発揮できる環境づくりが不可欠です。

しかし現実には、非正規労働者は仕事内容が同じでも処遇に大きな不合理な格差があることが問題視されてきました。

この格差を是正するため、「働き方改革実行計画」(2017年3月決定)の柱として、正規と非正規の不合理な待遇差をなくす“同一労働同一賃金”が掲げられ、関連法令の整備が進みました。

具体的には、通常労働者と短時間・有期契約労働者の不合理な待遇差を禁じる規定がパートタイム・有期雇用労働法に、通常労働者と派遣労働者の不合理な待遇差を禁じる規定が労働者派遣法にそれぞれ盛り込まれる形となりました。

さらに裁判例の積み重ねを踏まえ、賞与や手当、福利厚生などの待遇差を認める基準が法律上に明確化され、企業は合理的な説明を求められるようになっています。

これら法改正により、非正規の待遇改善と企業の人材確保を両立させることがより重要となっていくでしょう。

目的は「非正規の不合理な待遇差をなくす」こと

では、具体的にどのように待遇差をなくしていくかですが、なかなか想像するのが難しいですね。

非正規でもパート・アルバイトや有期契約の契約社員、派遣労働者がいるし、全員正社員と給料を同じにしろ!というのも無理があります。

このパートタイム・有期雇用労働法は、8条と9条の二つの条文によって交通整理がなされています。

まず、パートタイム・有期雇用労働法8条は、3つの観点(後述)で実態を比較した時に、正社員と同様かどうかを考えながらバランスを取ってくださいね、という意味があります。

いわゆる、均衡待遇です。

均衡といったバランスを鑑みて、非正規と正社員で理由のつかないような待遇差はやめましょう、という意味です。

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

パートタイム・有期雇用労働法9条は、3つの観点のうち2つの観点(後述)が同じであれば、給与などの待遇を同等にしましょう、という意味があります。

いわゆる、均等待遇です。

均等、つまりイコールな待遇を求めているという内容です。

事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者 ~ 中略 ~ であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの ~ 中略 ~ については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

色々と小難しい条文が並びましたが、具体的に表現すると、仕事が正社員と同じなのにもかかわらず「非正規だから賞与なし」「パートは昇給なし」といった横並びの扱いはNG、といったルールが明記されています。

不合理かどうかは“3つの観点”で実態判断

下記の3つの観点で実態を比較しながら、総合的に判断していくこととなります。

①職務内容

(仕事内容・責任の重さ)

同じ業務内容かどうか、また責任の程度を軸として判断します。

たとえば、飲食店の契約社員が正社員と同じ業務を実施していて、正社員の公休日にアルバイトを統率して店舗運営、顧客からのクレームも対応しているようであれば職務内容は同等と判断する、といったイメージです。

②職務内容・配置の変更範囲

(人事異動や転勤の有無、範囲)

人材活用の仕組みが同じかどうか、つまり人事異動や評価制度などが同じかどうかを軸として判断します。

たとえば、飲食店の契約社員は正社員と同様に人事異動の対象であって、評価制度も同じものが対象にばなる場合は、職務内容・配置の変更範囲は同等と判断する、といったイメージです。

③その他の事情

職務の成果や能力、経験などを軸に判断します。

たとえば、飲食店の契約社員Aさんは店長として勤続3年目、売上前年比10%増。正社員Bさんも同等の成果や能力があれば、その他の事情も同等と判断する、といったイメージです。

・均等待遇

①②③を総合的に考えながら、バランスの取れた待遇にしましょうという意味です。

・均衡待遇

①②が同じであれば待遇の差別的取り扱いは禁止、つまり正社員と同等の待遇にしてください、となります。

非正規が悩む待遇差のリアル

非正規から寄せられる悩みで最も多いのは、正社員と同じ仕事内容なのに「賞与ゼロ」「昇給なし」「手当が支給されない」といった待遇差です。

厚労省の資料でも、特に問題となりやすいのはおもに下記の手当です。

  1. 基本給
  2. 賞与
  3. 退職金
  4. 役職手当
  5. 特殊作業手当
  6. 特殊勤務手当
  7. 精皆勤手当
  8. 時間外手当、休日手当、深夜手当
  9. 家族手当

本来、原則として同じ業務をしているなら同じ水準の待遇が必要ですが、実際には非正規だけ支給対象外にされているケースが非常に多く見られます。

こうした不合理な格差は法律でも解消を求められておりますが、具体的な例を一部ご紹介します。

① 基本給・昇給

基本給や昇給は、能力・経験・業績・勤続などに基づくため、正社員と非正規で「職務の内容」、「人材活用の仕組み」が同じで、支給基準が同じ場合は同一支給が求められる領域です。

一方、正社員は幅広い業務・異動を前提とした「人材活用の仕組み」があり、非正規とは職務の難易度や責任範囲が異なるケースも多いことから、差が認められやすい項目です。

裁判例でも、基本給の不合理な相違が認められた例は少ないものの、職務やスキルが同じ場合は差が問題となります。

企業としては、職務内容や職務評価を行い、能力や職務の違いが給与差に合理的に反映されているかを検証することが重要です。

② 賞与

賞与は業績貢献度・評価・勤続など複数の趣旨を持つため、正社員と非正規で一定の差を付けても直ちに不合理とはされにくい領域です。

しかし、貢献度が正社員と同等である場合や、正社員に一律支給しているのに非正規はゼロといったケースは不合理と判断されます。

実際の裁判例では、大学アルバイトに対する賞与ゼロ支給が争点となったが、最終的には「職務内容・配置の変更の範囲の違い」を理由に正社員との差が認められました。

企業としては、非正規の貢献度に応じて一定の支給を行う、または正社員と非正規で支給率や月数を変えるなど、合理的な説明ができる制度設計が求められます。

③ 退職金

退職金は長期雇用を前提としており、短期間の契約労働者には支給しない運用も広く認められています。

ただし、無期雇用パートや長期間継続雇用されている契約社員など「事実上長期雇用」と判断される人には、ゼロ支給が不合理とされる可能性が高まります。

裁判例(メトロコマース事件)では、高裁は「支給しないのは不合理」と判断したものの、最高裁は「職務内容の違い」等を重視し不合理ではないと判断しました。

企業としては、自社制度の趣旨(後払い賃金・功労報償など)を明確化し、職務内容・責任・異動範囲・勤続年数に応じた支給方法(正社員とは別の制度・ポイント制など)の検討が重要です。

④ 役職手当

役職手当は「役職に伴う責任の程度」に応じて支給される手当であり、正社員か非正規かにかかわらず、同じ役職・同じ責任であれば同一手当が原則です。

ただし、非正規の労働時間が短い場合は「比例支給」が認められています。

裁判例(長澤運輸事件)では、定年再雇用者に役付手当を出さない運用が「年功給ではなく、役付者に対する対価」であることから不合理ではないとされています。

企業としては、非正規がリーダー等に就く場合、その業務・責任・部下管理の範囲が正社員と同じかどうかを丁寧に比較し、違いがある場合は金額差をつけるなど合理性を示せる運用が必要です。

⑤ 特殊作業手当

特殊作業手当は、危険作業・特殊作業環境・専門技術が必要な業務に対して支給されるもので、最も“職務内容”が重視される手当です。

したがって、正社員と非正規が同じ作業をしている場合には、同額支給しなければ不合理とされます。

裁判例(ハマキョウレックス事件)でも、作業手当は特定の作業を行った場合の対価であるという性質。従って、同一作業なのに正社員だけに作業手当を支給していたことが不合理と判断されています。

企業としては、手当が「生活給化」している場合は基本給に統合するなど、本来の趣旨に立ち返って制度を見直すことが求められます。

逆に、作業内容・危険度・責任範囲に違いがある場合は、手当の差に合理性を持たせることが可能です。

⑥特殊勤務手当

特殊勤務手当は、交替制勤務や、早朝・夜間勤務、年末年始勤務などの対価として支給される手当です。

たとえば、正社員と非正規が正月に働いて、正社員だけ手当がつくといった不合理な差をつけることは認められません。

裁判例(日本郵便(東京)事件)では、年末年始の期間において正社員は年末年始勤務手当を支給、時給制契約社員には支給しないといった対応を不合理としました。

年末年始の配達業務はもっとも忙しいことが想定され、特殊な時期に勤務したことに対する手当と考えた場合、合理的とは言えないと判断されています。

手当の実態が“生活給化”している場合は、手当の趣旨を確認し、制度そのものの見直しが必要となります。

➆ 精皆勤手当

精皆勤手当は、欠勤や遅刻がない勤怠状況に対して支給する「出勤奨励金」であり、非正規を対象外にする合理性は乏しいとされています。

ガイドラインでも、この手当は「出勤の実績」を評価するものであり、正規・非正規の区別が生じる性質ではないと示されています。

裁判例(ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件)では、契約社員に皆勤手当を支給しない企業の取り扱いが“不合理”とされ、正社員との職務の違いは実態としてなく、正社員にのみ支給とすることは認められませんでした。

企業側は、正社員・非正規問わず、出勤状況に基づいて同一基準で支給することが求められます。

ただ、職務内容に大きな違いがあって皆勤を求める必要性が異なる場合は、正社員のみの支給も合理的とみられる可能性があります。

⑧ 時間外手当、休日手当、深夜手当

時間外手当などは、労働基準法にて法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)があり、時間外労働の抑制や過重労働の対価として支給されるので、正社員・非正規の区別は合理的ではありません。

ガイドラインについても、正社員と非正規に対して同じ割増率で支給しなければならないという考え方が記載されています。

裁判例(メトロコマース事件)でも、所定労働時間を超える割増率において正社員の方を高く設定しているのは理由が乏しい。

従って正社員と契約社員に待遇差を設けているのは不合理と判断されています。

企業において、正社員には高い割増率を設定して非正規には法定と同じ割増率を設定しているケースがあります。

この待遇差を解消しようとして正社員の待遇を下げることは労働条件の不利益変更につながるため、対象者へのきちんとした説明や納得感のある合意を得ることが必要となってきます。

⑩ 家族手当

家族手当は「家族を養う生活補助」を目的とした手当であり、従来は正社員のみ対象とされることが多い領域です。

しかし、裁判例(日本郵便(大阪)事件)では「家族手当は職務に関係ない福利厚生」であることから、正社員と非正規で区別する合理性は弱いと判断される事例が増えています。

特に、長期間勤務している契約社員や無期転換者に対する不支給は、不合理と判断されやすくなっています。

基本給や賞与、退職金は能力、経験、責任の程度に応じるケースが多く不合理と判断されない場合がありますが、家族手当のような支給目的が分かりやすいものについては、正社員と同様な対応を求められやすいと言えるでしょう。

企業は、手当の趣旨を明確にした上で、必要に応じて対象基準を見直すことが求められます。

行政調査のリアルを公開(実例)

実務的には珍しい調査ですが、労働局が行う同一労働同一賃金の調査というものがあります。

これは、企業がしっかり法令にのっとって会社運営をしているか確認する調査ですが、一般的な調査は労働基準監督署が行うもの、年金事務所が行うもの、ハローワークが行う調査などがあります。

私自身、上記の調査は何度も対応経験がありましたが、今回の同一労働同一賃金は初めてで予定時間は1時間半となっていました。

顧問先と連携し、書類を準備して調査に臨むこととなりました。

調査通知書が届くと、提出書類が多岐に渡る

準備する書類はおおむね下記の書類でした。

ヒアリング票

会社の所在地や代表者氏名、内の従業員数の内訳(パートタイム、フルタイム、有期、無期)、雇用管理状況の実態(法定の労働条件を明示しているか)などを記入する様式です。

組織図、配置図

会社の組織図で〇〇部、▲▲部などがツリーのように図になっている資料です。

就業規則など

就業規則、賃金規程、パート・アルバイト用の就業規則などです。

労働条件通知書

パート・アルバイトに労働条件を明示した書類を1名分提出となります。

正社員転換推進の証拠

正社員に転換を促進した資料の提出です。

たとえば、「求む正社員募集!社内公募スタート!」のような、休憩所に貼ってあるポスターやチラシなどがあれば提出します。

非正規労働者へ説明資料

雇い入れ、更新時に説明が必要な内容の資料を提出します。(不合理な待遇差を設けていない事、賃金の決定方法、教育訓練の実施の方向性、福利厚生施設の利用について、正社員転換推進措置があること)

調査官は“待遇差の目的”や実態を細かく確認する

調査については傾向があり、他の調査もそうですが淡々と、事実を元に、実態が法令通りかどうかを確認していきます。

よく事業主さんから抜け道はないの?といったご質問がありますが、相手もプロなので簡単なウソはすぐバレるのはもちろん、相手の言動で思考を読んできます。

つまり、やっていないことを言い逃れするのは、その言い逃れの時点で実態はほぼ把握されています。

ただ言い換えれば、調査目的も法令順守させることが狙いなので指導内容を素直に聞き、改善を約束すれば静かに終了します。

私の顧問先は 90分予定 → 実質60分で終了

私の顧問先は、人事部長さんが日ごろから同一労働同一賃金について熱心に対応されており、従業員さんとのコミュニケーションも密に行っていたため書類の準備もさほど大変ではありませんでした。

やはり書類は実態を隠そうとするとすぐにボロが出るようになっており、調査官は微妙な内容はすぐに見抜きます。

人事部長さんの代理で社会保険労務士として出頭してきましたが、通常1時間30分かかるところが1時間で終了、書類も聞かれたことを素直に答える流れでスムーズに進みました。

私のブースは主席調査官でしたが「すべての書類を確認させていただきました。これらの書類は、本当によく対応されています。中小企業でここまでやっている会社はほとんどありませんよ。人事部長さんと社労士さんが日ごろから熱心に整備されていることがよく分かります。」と言っていただけて、すこし肩の荷が下りた気がしました。

他社ブースは混乱も・・・

全部で3ブースあり、真ん中が私、両脇は他社の調査が行われていました。

調査が終わったので席を立とうとすると、他社の調査は時間がかかりそうな雰囲気で、「その説明はしてませんが必要なんですか?」「そんな資料があるとは知りませんでした」「いや、だから法的には必要な内容なんですよ」など、同一労働同一賃金の解釈を巡って話が嚙み合っていない雰囲気を感じました。

ただ、社会保険労務士といった専門家を入れないと法的な内容も多岐に渡っており、すべてをクリアするのは正直難しいとも思いました。

見方を変えれば、非正規の方の待遇アップを確実に行う上で、やはりこういった調査は必要なんだな、としみじみ感じた次第です。

企業が本来やるべき実務対応

会社がパート・アルバイトや有期雇用労働者を雇用したら、色々やるべきことがあります。

労働条件や待遇のバランスを取ることはもちろん、それ以外もあるので具体的に確認してみましょう。

① 労働条件の明示(昇給・賞与・退職手当・相談窓口)

労働条件通知書、あるいは雇用契約書で昇給の有無、賞与の有無、退職手当の有無、相談窓口の有無を記載しておかなければなりません。

相談窓口の有無は「総務部 人事課主任 田中 太郎 電話番号 03-〇〇〇〇-××××」といったように、すぐに連絡出来るように情報を記載します。

たまに相談を受けるのが、中小零細企業で社長が相談窓口だと意味がない・・・といったものです。

具体的な例としては、社長の言動が厳しくて、とても相談窓口にならないというケース。

その場合は顧問社会保険労務士に依頼するか、最近は外部でも有料で相談窓口を設けているケースもあります。

どうしても社内にこだわりたい場合はチーム制にするなど、やり方は色々あるので社内に合っているやり方を模索するのが良いでしょう。

② 正社員への転換推進措置

これは正社員を募集するときに、現在社内に在籍しているパート・アルバイトにも声掛けしましょう、という意味です。

方法は色々あって、会社内の休憩所に貼り紙をする、社内メールにて公募する、社内のイントラネットなどに掲載するなども可能で、方法は限定されていません。

よく事業主さんから求人のご相談を受けますが、正社員採用時は求人媒体に正社員求人をストレートに載せる方が多いです。

絶対ダメというわけではありませんが、あわせて社内公募も行うことで法令順守になるだけでなく、「よし、正社員をめざすぞ!」といったパート・アルバイトのモチベーションアップにもつながります。

正社員募集の際は心がけたいところです。

③ パート・アルバイト用就業規則の整備と代表者の意見聴取

就業規則は労働者代表の意見を聴く必要があります。

パート・アルバイトが適用される、いわゆるパート・アルバイト用就業規則はパート・アルバイトの労働者代表の意見を聴くことが必要です。

よく正社員の労働者代表で済ませてしまうケースがありますが、パート・アルバイトの労働者代表の意見聴取が必要なため、注意が必要です。

④ 待遇差の説明義務

雇い入れ時と契約更新時は、待遇差の説明義務があります。

正社員との間で不合理な待遇の差は設けていない事、賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員への転換を促進するための措置です。

実際の実務では下記のような書類を労働条件通知書、あるいは雇用契約書に添付して説明することが多いです。

雇い入れ時の説明書事例

待遇差のアウト例

同一労働同一賃金では、正社員と非正規の間にどのような待遇差が「不合理」と判断されるのかが重要なポイントになります。

実際の裁判例や行政の考え方を見ると、賞与、各種手当、福利厚生など、日常の働き方に直結する部分で多くの問題が指摘されています。

ここでは、特に争われやすく、非正規の方が悩みやすい代表的な項目をわかりやすく紹介します。

賞与

【大阪医科薬科大学事件・大阪高判 H31.2.15】

賞与を「正社員のみ一律支給」「有期の契約社員も満額ではないが支給」なのにアルバイト職員は無しという運用は、不合理と判断されるケースがあります。

本件では、正社員と全く同額を支払えということではないが、契約社員に正社員の80%を支払っている事実を踏まえ、アルバイト職員にまったく支給しないというのは不合理であると判断されました。

賞与の趣旨が「勤務期間への貢献」にあると思われ、契約社員とアルバイトの待遇差を大きくするのは不合理な相違に至ると判示しています。

精皆勤手当

【ハマキョウレックス事件・最二小判H30.6.1、長澤運輸事件・最二小判H30.6.1】

精皆勤手当は「欠勤がない勤怠実績」に対して支給されるものであり、契約形態による差を設ける合理性はきわめて弱いとされています。

正社員のみ支給・非正規は対象外という取り扱いは、職務の内容が同一である以上出勤の奨励について必要性に差が無いと考えられました。

実際の裁判例でも、出勤実績そのものを評価する手当は、正社員・非正規で区別できないとの判断が主流となっています。

手当の趣旨がシンプルである以上、正社員であっても有期契約であっても職務内容が同一であれば待遇の差をなくす、あるいは0-100ではない、支給額の差を設けるなどの工夫が必要となります。

通勤手当

【ハマキョウレックス事件・最二小判 H30.6.1】

通勤に必要な交通費は、勤務形態に関係なく「実費補填」を目的とするため、正社員は全額・非正規は上限ありといった取り扱いは不合理の典型です。

ハマキョウレックス事件でも、同じ距離を通勤する正社員には月5,000円、契約社員対しては月3,000円といった運用が争われ、不合理と判断されています。

職務の内容、配置の変更の範囲が異なっていても、通勤にかかる金額が変わるわけではなく、この待遇差は合理的ではないと考えられました。

もし仮に正社員より出勤日数が少なければ、出勤日数に応じて通期手当を設定するなど、一律で非正規は低いといった扱いは控えたほうが良いでしょう。

病気休職

【日本郵便(東京)事件・最一小判R2.10.15】

病気休職とは、仕事とは関係のない私傷病などで会社を休み、労働を免除できる制度のことを指します。

この判決では、正社員は病気休暇が有給で90日認められるのに対し、時給制契約社員の病気休暇は無給で1年に10日、この待遇差が不合理と判断されました。

この病気休暇というのは長期にわたって勤務をしてもらう上で、正社員がもし体調を崩したとしても会社が雇用を確保する目的で運用していると考えられます。

しかし、時給制契約社員についても有期契約の更新を繰り返している者もいて、日数の相違なら分からなくもないが、有給無給の待遇差を設けることは合理的ではないと判示されました。

あなたの待遇は大丈夫?セルフチェック

  • 正社員と仕事内容が同じ
  • 責任も同じ
  • 福利厚生が使えない
  • 昇給も賞与も説明がない
  • 契約更新が形式的
  • 正社員登用制度の説明がない

1つでも当てはまれば、待遇差の合理性が疑われます。

会社が変わらないとき、あなたが選べる選択肢とは?

法律は後押しになりますが、企業が必ず改善するとは限りません。

行政調査の現場でも、整備不足の企業が多く存在します。

もしあなたが今、

  • 昇給なし
  • 賞与なし
  • 正社員と同じ仕事
  • 契約更新だけ続く

という状況なら、まずは会社に説明を求めた上で、

✔ 環境を変える

という選択も、決して後ろ向きではありません。

転職で正社員になったり、待遇改善を実現するケースは珍しくありません。

あなたの人生とキャリアは、会社の都合だけで決められるものではありません。

まとめ|待遇差はあなたのせいではない

同一労働同一賃金は、非正規の不利益をなくすための制度です。

しかし、現場の整備が追いついていない企業が多いのが現実です。

「説明を求める」「制度を確認する」「改善されないなら環境を変える」。

あなたの未来を守るために、この3ステップを大切にしてください。

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👤 監修者プロフィール

社会保険労務士 三島潤

社会保険労務士 三島 潤
三島社会保険労務士事務所 代表

  • 顧問先100社以上の労務管理をサポートし、年間数百件の労務相談に対応
  • ブラック企業の実態に精通し、安心して働ける環境づくりに尽力
  • 「ブラック企業を減らし、幸せな職場を増やすこと」を使命に、企業経営者・働く人の双方を支援中

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