実際に寄せられた相談
「今月の給与明細を見たら、“役職手当”が勝手にカットされていました。
会社からは『今期は業績が悪いから』と言われましたが、事前説明もありませんでした。
こんなことが許されるのでしょうか?」
手当の勝手な削減はブラック企業で最も多い給与トラブルのひとつです。
結論から言うと、社員に説明もなく手当をカットするのは基本的に違法です。
社労士として、分かりやすく解説します。
【結論:手当の“一方的なカット”は原則違法です】
基本給や手当は、会社の勝手な判断で削れません。
- 固定残業代
- 役職手当
- 資格手当
- 職務手当
- 皆勤手当
- 営業手当
これらは 労働契約の一部 であり、社員に不利益となる変更はできないようになっています。
【今回の相談の状況】
- 役職手当が今月から消えた
- 理由説明なし
- 就業規則の変更なし
- 業績不振を理由にされた
- 給与明細の説明があいまい
→ 典型的な不利益変更・ブラック企業でよくあるパターン。
【法律のポイント(社労士が解説)】
✔ 労働契約法8条:合意なき不利益変更は違法
手当は労働条件の一部。本人の同意なくカットできません。
✔ 就業規則の変更にも“合理性”が必要
会社が就業規則を変えても、その内容が明らかに不合理なら無効。
(例:業績悪化を理由に全員の手当カットなど)
✔ 事前説明なしの削減は完全にNG
事後報告や「勝手に変更」は行政指導の対象になります。
✔ 固定残業代の場合は更に厳格
固定残業代部分をカットすると賃金カットと同じ扱いで、基本的にアウト。
【社労士が見てきた“ブラック給与カット”の実例】
- 「今月から手当全部なくす」
- 「業績悪いから我慢しろ」
- 「新制度になったから」
- 「手当は社長の裁量」
- 「文句あるなら辞めろ」
…など。
しかし、これらは労働契約法上はほぼ全て違法 です。
【正しい対処法(5ステップ)】
① 就業規則・雇用契約書をチェック
- 手当の条件
- 支給基準
- カットの理由
が書かれているか確認。
② 給与明細を保存
毎月のミスや改ざんの証拠にもなります。
③ 会社にメールで説明を求める(必ず証拠を残す)
例文:
「◯◯手当が今月から消えていますが、
事前説明がなかったため、理由をお知らせください。」
④ 不合理な場合は労基署へ相談
給与の“勝手な変更”は指導対象です。
⑤ 他の労務トラブルも疑う
手当カットの会社は以下もセットで起きがちです:
- 社保未加入
- 残業代不払い
- 有給を使わせない
連鎖型のブラック企業です。
【危険度チェック】
以下に当てはまるとブラック度が高い:
- 説明なし
- 就業規則に書いてない
- 業績理由でカット
- 急な給与変更
- 固定残業代をカット
- 文句言うと怒られる
2つ以上で ブラック偏差値70〜80。
ブラック企業の特徴をもっと詳細に知りたい方は「【2025年度版】ブラック企業の特徴8選|偏差値80~50まで」を参考にしてください。
【社労士からのメッセージ】
手当のカットはあなたが悪いのではありません。
これは会社の労務管理の未熟さ・違法行為 です。
あなたの生活を脅かすような企業に遠慮する必要はありません。
【手当カットのある職場から抜け出したい方へ】
給与トラブルが起きる会社は、
残業・社保・退職妨害などのトラブルが
セットで起きます。
安心して働ける環境を探したい方へ
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👤 監修者プロフィール
社会保険労務士 三島 潤
三島社会保険労務士事務所 代表
- 顧問先100社以上の労務管理をサポートし、年間数百件の労務相談に対応
- ブラック企業の実態に精通し、安心して働ける環境づくりに尽力
- 「ブラック企業を減らし、幸せな職場を増やすこと」を使命に、企業経営者・働く人の双方を支援中

