2025年4月より雇用保険の基本手当が受給しやすくなりました


会社を辞めて収入がなくなったときに助けになる制度の一つが「雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)」です。この手当は、辞めた理由や年齢、これまでどれくらい働いていたかなどによって、いつから、どのくらいもらえるかが変わってきます。ここでは、もらえるまでにかかる「待ち時間」について説明します。

【1】もらえるまでの待ち時間
雇用保険をもらうには、まず「待期期間」と呼ばれる7日間の待ち時間があります。これはどんな理由で退職した場合でも共通です。
ただし、自分の都合で辞めた場合(たとえば転職のためなど)は、その後に「給付制限期間」という、さらに1〜3ヶ月間お金がもらえない期間が加わります。
この期間は少しずつ短くなっていて、2020年10月以降は2ヶ月、2025年4月以降は1ヶ月になりました。
でも、過去5年間に2回以上、自分の都合で辞めて失業手当をもらったことがある人や、問題を起こして解雇された人は、今でも3ヶ月の制限があります。

【2】勉強するとすぐもらえる場合も
2025年4月からは、新しい仕事に向けてスキルを学ぶ「リスキリング(学び直し)」のために、決められた研修や職業訓練を受けると、この制限期間がなくなり、早く手当がもらえるようになりました。
対象になるのは、教育訓練給付金の対象講座や、公的な職業訓練など、限られた講座です。退職後に受講を始めれば、その日以降は制限がなくなりますし、退職前1年以内に受講していた人もすぐにもらえるようになります。ただし、問題を起こしてクビになった場合は、この特例は使えません。

【3】給付制限をなくすための手続き
制限をなくすためには、研修を始めたあとに、ハローワークで申請をする必要があります。申請のタイミングは少しややこしく、次のようになっています。

給付制限期間が2ヵ月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を開始する場合には、申し出の期限に注意が必要で、次のようになります。

  • 受講開始日が「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前の場合、受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出。
  • 受講開始日が「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前の場合、「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出。

申請するときは、研修の開始日がわかる書類(領収書や証明書など)を提出します。

なお、この制度は退職後に本人が使うものですが、実際には会社に質問してくる人も多いので、会社側でも基本的な内容は知っておくと安心です。


投稿者プロフィール

三島社労士事務所 代表 三島 潤
三島社労士事務所 代表 三島 潤
大手外食チェーンに入社、店長やスーパーバイザーを経験した後、本部の総務・人事部に異動。社会保険労務士試験に合格して独立。100社を超える中小企業に労務管理支援、労働保険の適用促進を行っている。